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使途不明金問題

 

被相続人の銀行預金から不自然な引き出しがある。追及したい。

被相続人の預金を管理していたら他の相続人から使い込みを疑われている。疑いを晴らしたい。

これが、遺産分割で問題になる使途不明金問題です。

遺産分割4大問題(遺産の範囲、使途不明金、特別寄与、特別受益)のうちの一つですが、一番、こじれやすい問題です。

 


森法律事務所から一言

相続人の一人が被相続人の通帳管理をしていた。蓋を開けてみると予想外に預金が少ない。管理していた相続人が、個人的に使い込んだに決まっているではないか。

 

このようなトラブルを遺産分割実務では、「使途不明金問題」と総称しています。

この使途不明金問題は、遺産分割4大問題(遺産の範囲、特別寄与、特別受益)の一つであり、遺産紛争に絡んで絶えず問題になります。

 

この使途不明金問題は、ポピュラーな問題とはいえ、その解明、法律構成が難しく、専門的知見を有する弁護士でないと迅速で合理的な解決はできません。

多くの弁護士が面倒がって解明を放棄するか、逆に、細かく考えすぎで迷路に入り込んでしまいます。

  当事務所は、使途不明金問題について多数の実績があり、今も、多数の案件を抱えています。その件数は、国内トップレベルで、解決に関し多くのノウハウがあります。

書籍

弁護士のための遺産相続実務のポイント 遺産分割・遺言無効・使途不明金ほか遺産分割の付随問題
弊所が多数の使途不明金事件を処理する中で獲得したノウハウ・知見を、全国の弁護士等専門家の方々のために公開した書籍で、特に使途不明金訴訟に関しては、本書はほとんど唯一の書籍となっており、弁護士の必読書という評価を受けております。


DVD

改正相続法の論点 新たな紛争解決のための弁護活動指針 全3巻
弊所では、そのノウハウに基づき、全国の弁護士むけに上記DVD全三巻を配布し、全国の弁護士が、これで研修しています。

使途不明金問題に悩んでおられる方は、是非一度、当事務所にご相談ください。


使途不明金問題 Q&A

(注)以下のQ&Aは、主として東京家裁・横浜家裁の遺産分割専門部の基準に基づいて記載されています。この基準が、全国のどの裁判所でも通用するわけではありません。

使途不明金問題とは何ですか?
相続人の一人が被相続人の預金を引き出し、その使途が不明あるいは不合理な場合です。
本来、使途不明金問題は、相続直前あるいは直後に多額のお金を引き出した場合を指 しますが、実務的には、相続人の一人が被相続人の預金を管理していた全期間中、引き 出した金額について追及し、あるいは追及されることが多いです。
その期間は、数年、場合によっては10年以上になる場合もあります。
弁護士として、かなりの作業が必要で、しかも、専門的な知見が必要なので、追及する側 の多くの弁護士が、この問題を避けて解決しようとします。
使途不明金問題には、どういうパターンがありますか?
相続前の使途不明金問題と相続後の使途不明金問題があります。

[相続前の使途不明金]

相続前に被相続人の預金口座から多額のお金が引き出されている場合、以下のように分類されます。

被相続人から贈与を受けたと主張→特別受益の問題(遺産分割審判で解決)

それ以外の主張→使途不明金問題(訴訟で解決)

  

[相続後の使途不明金]

相続後に被相続人の預金口座から引き出されている場合、以下のように分類されます。

単独払戻制度(909条の2)の手続きで引き出されている→遺産の一部分割として処理する。(弊著「弁護士のための遺産相続実務のポイント」246頁~

単独払い戻しの手続きを踏んでいない→使途不明金問題 「みなし遺産制度」(906条の2)の適用の有無で手続きが異なる。

②-1みなし遺産の適用がある→家庭裁判所の遺産分割審判の中で処理する。

②-2みなし遺産の適用がない→地方裁判所の審判で解決する。

詳細は、弊著「弁護士のための遺産相続実務のポイント」290頁~をご覧ください。

相続人の一人に使途不明金の責任を追及したいのですが、どうすれば良いですか?
銀行の取引履歴を調査し、管理していた相続人に確認します。
使途不明金問題は、問題となっている通帳のうち、不明な取引を特定し、その使途を管理 していた相続人に問いただすことからスタートします。
ただ、例えば数万円程度の出費など記憶してないのが普通で、これを追及しても回答できないのは当然です。ただ単に、預金残高が少なすぎるというだけでは、裁判所は相手にしません。
被相続人の当時の生活状況から、極めて不自然な出費を一つ一つ特定し、それを追及することが必要です。
よくある主張が、被相続人の収入総額を計算し、そこから被相続人の予想される生活費を支出し、その差額が預金として残っているはずなのに、実際の預金は、それよりはるかに 少ない、預金を管理していた相続人が費消した、というもの。しかし、このような「これだけあるはずだ」という主張は、失当で、裁判所は相手にしません。
被相続人の預金を管理していたところ、他の相続人から「預金を個人的に費消した」との 疑いがかけられています。どうすれ良いですか?
相手に問題取引を指摘してもらい、それについて、合理的な説明をすれば大丈夫です。
預金を管理してない相続人が主張する典型例が、預金が少なすぎるという主張。
被相続人の収入総額を計算し、そこから被相続人の予想される生活費を支出し、その差額が預金として残っているはずなのに、実際の預金は、それよりはるかに少ない、 預金管理者が費消したというもの。
しかし、このような「これだけあるはずだ」という主張は、失当で、裁判所は相手にしません。 まず相手方に、どの銀行のどの取引かを明確に特定してもらい、さらに、その中で当然覚えているべき取引だけに限定して回答します。例えば、5万円の出費など記憶がないのが普通ですが、100万円単位の出費なら、普通は記憶しているはずです。
使途不明金の追及には消滅時効がありますか?
態様により異なります。
特別受益型の場合は、消滅時効自体が問題になりません。
不法行為を請求原因とするときは、知ってから3年、行為の時から20年です。
不当利得を請求原因とするときは、知ってから5年、行為の時から10年です。
不法行為を請求原因とするか、不当利得を請求原因とするかは、行為の態様と消滅時効との兼ねあいで判断します。
使途不明金を追及するには、どの程度の証拠が必要ですか?
客観的な資料が必要です。
かなりの金額が引き出されたが、預金を管理していた相続人から合理的な説明がないと しても、それだけでは責任追及できません。
被相続人が自分で使うはずがない、という状況を、客観的な資料で説明する必要があります。
家裁の遺産分割調停で使途不明金を協議したいのですが、できますか?
協議が難航するとき、調停委員会は、3~4回で打ち切ります(東京家裁扱い)。
遺産分割調停では、多くの案件で使途不明金問題が提起されます。
このうち特別受益タイプならば、当然遺産分割の問題ですから、遺産分割調停・審判の中で処理されます。
しかし、贈与を否認する時は、特別受益の問題になりません。この場合、相続前の解約は、遺産分割の手続きの中で処理できず、地裁の訴訟で解決することになります。
相続後の解約は、単独払戻制度(909条の2)にしたがった解約でないかぎり、使途不明金の問題になり、みなし遺産(906条の2)の適用があれば、遺産分割調停・審判の中で処理されます。みなし遺産の適用がない場合は、相続前の解約同様、地裁の訴訟で解決することになります。
みなし遺産が適用された場合、解約した相続人から、他の相続人に対して不当利得返還請求訴訟を提起することになります。
相手は使途不明金の使途を葬儀費用や戒名等だといっているのですが認められますか?
全員の同意があれば、充当してもかまいません。
しかし、全員の同意が得られない場合、以下のように処理します。
[相続前に解約した場合]
使途不明金問題として、地裁に訴訟を提起し、その中で「葬儀費用に使った」という抗弁の成否を判断します。葬儀費用は、喪主負担か相続人負担かという争点になります(戒名は、いずれの立場でも、喪主が負担することになります)。
[相続後に解約した場合]
みなし遺産(906条の2)の適用があれば、遺産分割調停・審判の中で処理されます。
みなし遺産の適用がない場合は、相続前の解約同様、地裁の訴訟で解決することになります。
みなし遺産が適用された場合、解約した相続人から、他の相続人に対して不当利得返還請求訴訟を提起することになります。