森法律事務所から一言

実務上、遺言が撤回されたのかでトラブルになることがあります。

また中立であるべき遺言執行者が、一部の相続人のためにのみ動くことが多々あります。

このような場合は、遺言の撤回を争い、あるいは遺言執行者を紛争当事者とすることで事件を効果的に解決できる場合が少なくありません。

 


遺言撤回 Q&A

[遺言の撤回] 

遺言を撤回するにはどうすればいいですか?
遺言と同じ方式で撤回します。
遺言を書いたが、感情のもつれ、あるいは状況の変化から撤回したい。
こういう場合は、遺言者は、いつでも自由に撤回できますが、その方式は、遺言の方式で行う必要があります。
内容証明郵便で推定相続人や受遺者に撤回の意思表示を送ったとしても無効です。
遺言の撤回は、遺言と同じ方式以外ではできませんか?
抵触行為があれば撤回したものとみなされます。
法律的に遺言が撤回されたものとみなされる場合があります。遺言者が遺言内容と抵触する行為をした場合で、撤回擬制と言われます。具体的には
1、前後の遺言内容が抵触する(抵触遺言)
2、遺言の内容とその後の生前処分が抵触する(抵触行為)
3、故意による遺言書または遺言目的物の破棄(破棄行為)
の3つがこれに該当します。このうち、実務で問題になるのは抵触行為です。
父は、養子Aに全財産を相続させると遺言書を作成しましたが、その後、Aと不仲になり、 離縁しました。しかし、遺言書を撤回する遺言をしないまま、死亡しました。
この遺言は有効ですか?
撤回されたものとみなされます。
養子縁組の解消そのものは、養子に全財産を相続させるという行為と両立しないわけではなく、形式的には抵触行為とは言えません。
しかし、最高裁は、抵触行為とは「両立せしめない趣旨のもとにされた」場合も含み、本件では、遺言は撤回されたものとみなしています。

[遺言執行者の解任] 

父は後妻Aに全財産を相続させるという遺言を残しました。後妻の兄Bが遺言執行者に 選任されています。すぐに遺留分減殺請求権を行使しましたが、Bは財産を開示しないばかりか、預金をほとんど解約し、どこにあるかわかりません。どうすればいいですか?
遺言執行者を解任します。 利害関係人は、いつでも、遺言執行者の解任を家裁に請求できます。
解任理由は「任務を怠ったとき」と「その他正当な事由」があるときです。
Bは、財産目録の交付、事務処理状況の報告という任務を怠っています。
また遺留分減殺請求権を行使をしたにもかかわらず、無視して、預金を解約してしまいました。
これも、解任の正当な事由にあたります。