小規模宅地等の特例と家なき子

弁護士と話す高齢夫婦
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小規模宅地等の特例が適用できる宅地等は4種類あり、最も利用されているものが「特定居住用宅地等」です。この特例が使えるのは、①配偶者②同居親族③生計を一にする親族④家なき子です。①~③は読んで字のごとくで、意味がわかりますが、④の家なき子ってなんでしょう?

「家なき子」は、その語句の通り、家を所有していない親族です。居住者の保護が立法の趣旨ですから、配偶者以外の相続人が小規模宅地の特例が使えるのは、同居しているか、同居していなくとも、生計が一緒の場合に限られるはずです。しかし、諸々の事情から、家を所有していない親族が、相続を機にその家で生活を開始するというのはよくある話ですから、そういう場合も、80%引きの特典(課税価格の減額)を与えましょうという制度です。

但し、家がなければいいのかというと、以下の要件が必要です。

①亡くなった人に配偶者や同居の親族がいない

②宅地を相続した親族は、相続の3年前までに「自己または自己の配偶者」「3親等以内の親族」「特別の関係がある法人」の持ち家に住んだことがない

③相続した宅地を相続税の申告期限まで保有する

④相続開始時に居住している家屋を過去に所有していたことがない

平成30年度の税制改正で、④の要件が追加されましたが、平成30年3月31日現在において平成30年度改正前の「家なき子」特例の要件を満たしている場合には、令和2年3月31日までに発生した相続に限り、改正前の要件をもって「家なき子」特例が認められます。

例えば、独居暮らしの娘だが、1年前までは元夫の持ち家に住んでいた、だけど、離婚して現在はアパートで一人暮らし、そういう場合でも、適用があります。租税特別措置法関連通達69の4-22で、『措置法第69条の4第3項第2号ロ(1)に規定する「当該親族の配偶者、当該親族の三親等内の親族又は当該親族と特別の関係がある法人」とは、相続の開始の直前において同号に規定する親族の配偶者、当該親族の三親等内の親族又は当該親族と特別の関係がある法人である者をいうものとする。』という通達があるからです。

家族問題は、森法律事務所にご相談ください。(TEL:03-3553-5916)
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この記事を書いた人

1951年新潟県出身。中央大学法学部卒業。東京弁護士会所属。1981年弁護士登録。1983年森法律事務所設立。家事事件・不動産事件等が中心業務。主な著作に『法律家のための相続判例のポイント』・『法律家のための遺言・遺留分実務のポイント』・『弁護士のための遺産相続実務のポイント』(いずれも日本加除出版)などがある。趣味はカメラを片手に旅すること。森法律事務所:東京都中央区新川2-15-3 森第2ビル TEL:03-3553-5916